総務部
新年の挨拶
初夢の思ひしことを見ざりける  正岡子規
初夢の吉(きち)に疑(うたがい)無かりけり 松瀬青々
初ゆめのゆめの深さに溺(おぼ)れをり 村沢夏風
謹んで年の初めのお慶びを申し上げます
  米国に端を発した経済危機は一向に収まる気配がありません。それどころか、息苦しさが募るばかりですが、いつまでもうつうつと楽しまず、縮こまっているわけにはいきません。
気分がふさぎ、晴れ晴れとしない状態を表す「鬱(うつ)」という字には本来、盛んにわき起こるさまや、群がって茂るという意味も含まれているのだそうです。
 「鬱勃(うつぼつ)」といえば内にこもっていた意気が盛んにあふれ出ようとする状態を表しますし、「鬱然(うつぜん)」や「鬱蒼(うっそう)」は草木が勢いよく茂っている様子をいいます。ちなみに春を彩る色鮮やかなチューリップは、漢字で「鬱金香(うこんこう)」と書きます。
見方を変えれば、この閉塞(へいそく)感は、内にこもったエネルギーが行き場を失ったり、出口を見いだせずにいる状況の裏写しなのかもしれません。
 「景気は気から」と言います。内向きになりがちな時代だからこそ、外に打って出ませんか。
 「時が滲(にじ)む朝」で芥川賞を受賞した楊逸(ヤン・イー)さんは日本語がペラペラです。21年前に来日後、楊さんは日本語学校に通う傍ら、夕方5時から朝8時まで工場でアルバイトをして生活費を稼いでいました。疲れて、学校ではほぼ寝ていたそうですが、ただ日本語を知らないのに日本人にどんどん話し掛け、そのうち自然に話せるようになったそうです。
楊さん曰く、「教育の『教』は教えてもらって覚える方法論、『育』は猿が芋を洗って食べるように日常生活の中で自然に身に付くもの。私は日本語を『育』で覚えた。日本人は『教』を重んじる傾向がある。」なるほど、実践した44歳の人の言葉は鋭い。
人間、一生が学びの連続であります。
 楊さんのように内向きにならず、外に積極的に出て行く、この向上心こそが、心身ともに健康の秘訣になると思っています。
初夢で気分を一新、新しい年に向かって邁進しましょう。
そうすれば必ずや今の閉塞感から抜け出せることを信じて。
 本格的な寒さはこれからですが、支部員の皆さまにとって、本年が幸多き一年になりますようお祈り申し上げます。

支部長 藤原 吉辰

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